人生万事塞翁が馬。 でも、なんだかこんがらがってしまうことが多い日々。
           
米原万理『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』
2009年06月30日(火) 22:02
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (文芸シリーズ)嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (文芸シリーズ)
米原 万里

 ちびちび的プチ評
  30年の時間の流れを追った良質のドキュメンタリー。

角川書店 2001-07

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故・米原万理さんのデビュー作です。
米原さんが
9歳から14歳までを過ごしたプラハのソビエト学校。
50カ国以上の国から子どもたちが集まり、
親しくなった友人たちとの
さまざまなエピソードが語られています。

行ったこともないはずなのに
目をキラキラさせてギリシャの美しさを語るリッツァ。
バリバリの共産主義者であったルーマニア人のアーニャ。
クラス一の秀才で「ホクサイ」を崇拝する
ユーゴスラビア人のヤースナ。

友人の家に遊びに行った際の出来事や、
林間学校の思い出などは、
遠い国の話でありながらも
なんだか懐かしい思いを抱きます。
それほど、米原さんの描写がいきいきとしている。

米原さん自身は、1964年に帰国。
高校受験や大学進学など、
慌ただしい日本の生活を送るうちに
みんなとも音信不通になってしまいます。
が。
1990年前後からの東欧は、
国家として大きく揺れ動き、紛争も起こります。
親しかった友人の消息をたずねて、
ヨーロッパを回る米原さん。
特に、紛争中のユーゴを訪れ、
ヤースナを探すくだりには胸が熱くなりました。

別の本で米原さんが書いていたブッシュへの憤りの元は
ここにあったのだなぁと改めて納得しました。
だって、彼女には、
「殺される側」の人たちの顔が見えているから。
子ども心に「愛国心」を燃やしてお国自慢を繰り広げた友人。
大人になってから知る「真実」と、
イデオロギーの対立、民族主義と排外主義という「不条理」。
歴史の痛みを痛切に感じさせてくれる一冊です。

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